うさぎドロップ

りんと一緒に暮らすこととなった大吉。大吉は初めての子ども用品の買い物に途惑う。
急に大変なことが舞い込んだとき考えるのは自分が大変だということばかり。今回、りんを預かることとなった大吉も同様に、自分が大変だということばかり考えていた。大吉がそのような自分の状況に気付いたのは、りんを保育園に入れることになった初日のことだった。大吉が、りんを保育園に預けて会社へ向かおうとして、りんの顔を見たとき、その表情がとても寂しそうだったことから気付いたのだ。
そのとき大吉は自分の行動を思い返す。「悪い、りん。お前の気持ちまで気がまわらなかった。お前の母ちゃんの都合も、爺さんの寿命も、りんにとっては知ったことのないことで。置いてきぼりにされたというさびしい事実。また俺にも置いてかれるって思ったか。もうごめんだよな。あんなこと。」子どもは、周りの状況を正確に理解することはできない。もしかしたら、その必要もないのかもしれない。正確に理解することができるまで、大人が子どもを守らなければならない。大吉がいうように、りんにとって、りんの母親の事情も、父親である大吉の爺さんの事情も関係ないのだ。人間の子どもは大きくなるまで大人に守られるのが本来の姿なのではないだろうか。
 子供の洋服に臭いがつかないように煙草をやめる大吉。りんのために飲みに行くことも止める。生活がりんとのものに変化していく。「短期間でも子どもを育てると言うのは大変なことと」いう大吉の母親の言葉がよみがえる。
子どもというのは、他に頼る者がいないためなのか、親を信頼し愛する。もしかしたら、大人同士では感じることができないくらい強く。そのことを感じることができるのは、子どもを育てたことがある人間だけだろう。他方で、子どもへの責任を一同に引き受けることとなる。
 この愛を感じることができるのは、子どもという精神的に未成熟な存在が相手だからなのであろうか、それとも、相手の責任を一同に引き受けているからなのであろうか。

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